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理事長 伊吹 薫
[生年月日]昭和23年2月21日
趣味:山歩き、スキー、旅行、映画鑑賞
診察内容や、診察時間、料金、ご質問などは、医療法人IDCのサイトへアクセスをお願い致します。
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劇症型心筋炎

  歯科とは直接的には関係のない病気ですが、心筋炎って御存知ですか?   実は最近、家族がこの病気(正確には心筋炎と考えて間違いないだろうという段階です)にかかりました。 私達が経験したことが、少しは皆様方の医療情報となればと思い、敢えてブログに書きます。
           
             劇症型心筋炎
 
 劇症型心筋炎とは、心臓の筋肉自体が炎症を起こし、心房細動や心室細動(心臓は動こうとしているのですが、心筋がピクピクと動くだけで、しっかりと血液を送り出していない状態です)のために循環系に異常を来たし、数時間から半日くらいで心停止を来たす疾患です。 発症から重篤になるまでの期間が極めて短いため、適確な診断と、高度の医療技術が迅速に実施されなければ、救命することが非常に難しいのが現状です。 

 この心筋炎と言う病気は、程度の軽いものも多く、自覚症状のないまま、風邪をひいたかなと感じる程度で、見過ごしている場合も多いそうです。  又、重篤な状態から一旦回復しても、再発したり、心筋症に移行する場合もあり、予後をしっかりと観察していく必要があるそうです。
 原因はいろいろあるそうですが、ウイルス感染によるものがその大半ではないかと考えられています。  しかし、原因を特定することも非常に困難な病気です。

            我が家での出来事


 86歳になる母は朝晩小型犬を連れて散歩をするのが日課です。 これはやや鬱傾向が始まり、出不精になっている母に何とか、体を動かして貰おうと、1年半ほど前から始めました。  義務感の強い母は、何とか子犬を育ててやらねばと日夜奮闘中という訳です。  躾が思うように出来ず、私を育てた時より大変だとぼやいています。



 
 目下躾けられ中の(?)母親の相方です。 小粒ですが、気は強く、学習能力もあり、いろいろな面で人の気持ちを和らげてくれます。   難点は独特の臭いで、室内の消臭が目下の課題です。

 
 母はこの犬と毎日2時間弱、約5kmほど歩きますので、年齢の割には結構な運動量をこなしています。  又、犬の好きな方々が声をかけて下さって、散歩中に自然とお友達も増えてきたようです。 介護犬というかセラピー犬というか、我が家では重要な役割を与えられています。

              第1病日第2病日          

 さて、5月28日(金)の夜、「しんどくて犬の世話が出来ないので、暫く犬の散歩を休みたい」と言い出しました。  昼間はしんどいと思いつつも何時も通り過ごし、心療内科へも一人で通院していたようです。  良くあることなので、犬の面倒は私達夫婦が見ることにして、2-3日経てば又、気も変わるだろう位に考えていました。 翌日の土曜日は母に来客があり、疲れた様子はあるものの普通に応対していたようです。    
 夜になって、「とてもしんどく熱も37.6度あるので、来週木曜日に上京するのはやめる」と言い出しました。  東京で同窓会があり、そのついでに東京在住の姉妹に会いに家内と一緒に行くことにしていました。

                 第3病日
 
 5月30日(日)には切符などをキャンセルすることにして、東京の方へ連絡し、月曜日にはかかりつけの開業医のところへ行こうと話をしました。  喉の痛みや咳などは無く、又、解熱していて、体をねじると右胸が痛む、そして兎に角しんどいと言うだけでした。 肋骨にひびでも入っているのかと考え(10年前に右乳房切除術を受けています)、まず整形外科へ行ってみて、その上で内科を受診することにしました。  しかし、終日食欲が無く、だるいと訴えていました。   水分補給だけはするように言いました。  この時点で、手足の浮腫などはありませんでした。  やや、尿の出が悪い傾向があるかなと、本人が言っていましたが、日常そんなことを気にしたことがないので、良く判りませんでした。

                 第4病日

 5月31日(月)の午前中はしんどくて家を出る気がしないと言いい、結局夕方、家内が母を連れて、整形外科を受診しました。
 肋軟骨に損傷はあるが、さしてこの点は心配ない、ただ、顔色が悪いので、直ぐに内科を受診するように勧められました。  
 内科へ行くのも、とてもしんどそうだったそうですが、何とか診察を受けたそうです。  胸部レントゲンで心臓肥大を指摘され、心不全の疑いがあるといわれたそうです。  その際、降圧目的の利尿剤とジギタリス製剤(不整脈治療が主で以前は強心薬と考えられていた)を処方されたそうです。  心電図はとらなかったそうです。
私は仕事が終わって帰宅してから、そのことを聞かされ、家内に心不全の原因についての説明はなかったのか?と聞きました。 直ぐに精査する必要があるのではと、思いました。  と言うのは、母は全く心臓については異常を指摘されたことが無く、極めて丈夫な心臓だと思っていたからです。
 今までに2度悪性腫瘍の手術を受けましたが、その際の心電図検査等でも異常は無く、先生方から褒められていたのを思いだします。  新たな心肺の病気、悪性腫瘍の転移などが考えられる状態です。  内科から帰宅後、母は玄関先で倒れこんでしまい、しんどくて動けないと言い、1時間ほどそのまま横になっていたようです。
食欲も無く、殆ど何も食べていないようでした。
 さすがに家内も普通ではないと思い、明日、内科でもう一度今の症状を説明し検査入院を依頼すると言っていました。

                 第5病日

 そのまま、6月1日(火)に入り、午前中はまた、内科に行くのもしんどいと言う状態で、夕方になりやっと内科に連れて行けたそうです。   しかし、原因が定かでないまま、今から病院を紹介できる時間でもないので、明日、どの病院を受診するか判断させて欲しいということで帰宅したようです。    母は、他の人には非常に気を使い、余り、シンドさを見せず、先生には冗談も言うような患者だそうです。  ですから、先生も判断に苦しまれたのだと思います。
 私は仕事から帰って、家内から話を聞き、知り合いの循環器専門医に頼んでみようかとも考えましたが、明日、同じ状態が続くようなら、とりあえず内科医に検査入院を依頼するように家内に頼みました。

                 第6病日

 翌日6月2日(水)、私はいつも通り出勤しました。 長い1日になる予感はありましたが、、、、。
 昼前に家内からメールがあり、「吹田の国立循環器病センター緊急外来に来ている、病院内なのでこれ以上携帯を使えないので又、連絡する」と言うことでした。  水曜日のいぶき歯科医院は午前中のみの診療なので、診療後、診療用の眼鏡の修理に行き、それ以降、家内からの連絡を待つために自宅で待機していました。

            国立循環器病センター

 午後3時頃に、家内から直ぐに国立循環器病センターのCCU
(Coronary Care Unit:心臓疾患専門の集中治療病棟)に来るように電話があり、駆けつけました。  確か午後3時30分頃、病院に到着したと思います。

 そこでは、心電図・血圧・血中酸素濃度のモニター、酸素吸入、とりあえずの点滴注射(確か維持輸液)、それに導尿をされている母がいました。 意識ははっきりしていて、私が入室すると看護師さんに私を紹介してくれたり、看護師さんの「最近歯医者へ行きましたか」と言う問いに、「ここにいる息子が診てくれたんですよ」などと余計な話しまでしていました。  ただ、非常に苦しそうで、看護師さんや医師の先生方がいなくなると、「こんなにしんどいのは始めてだ」と、今度は左胸をかきむしる様にしていました。  又、導尿を外してくれと盛んに言って私を困らせました。  尿量を計っているので、最低1日は辛抱するようにと言いましたが、とても不満そうでした。 
 家内は入院の準備のため、自宅へ一旦帰ることになり、その間2人で病室で過ごしましたが、しんどさは極限状態かなと、感じました。  ただ、意識ははっきりしており、格好の文句が言える相手が出来たので、苦しい、苦しいの連続で、どうしたものかと、困っていました。 

 それでも脈拍は100超(早いですが、発熱などがあれば、不思議ではありません)、血中酸素濃度も99(マスクにて10L/min吸入中ですが、全く問題なし)、血圧130/80くらいと、心配な範囲ではなく、心房細動(後から出てきます)もありせんでした。  ただ、尿は殆ど出ていませんでしたし、心嚢に水が溜まった状態でした。
 
 緊急外来を受診した時は、それほどしんどいとは言わず、先生方もモニターを着けるまで、母の体内で生じている事態をそれほど深刻にはとらえておられなかったようです。  しかし、病状から考えて、心筋梗塞、心筋炎、あるいは心膜炎が考えられるので、とりあえず入院精査となったようです。

 2人だけの病室で、酸素マスクを外してくれとうるさく言うので、試しに外してみました。  すると、数値が徐々に下がり始め、90を切る所まで進み、これは、絶対にしなければ駄目だと言って、無理に再装着しました。  90を切ると、危険域には入ります。

 そうこうしているうちに、家内が自宅から入院に必要な物を持ってきました。 確か、午後5時くらいだったと思います。  それから、私は交代で、これからのことを考えて車にガソリンを入れに行き、すぐに病院へ戻りましたが、確か、午後5時30分過ぎくらいだったとおもいます、状況が一変していました。  私が国立循環器病センターを訪れてから、約2時間後です。

              急変した容態
 
 担当医の先生から、今後の処置は緊急を要するので、至急了承して欲しい旨の依頼があり、手術その他多くの承諾書にサインしました。  病室は少し大きめの所に変えられ、心電図モニターを見ると、P波(心房の収縮を表す)が消失し、心房細動に特徴的な基線の不規則な触れ(f波)が出ており、心拍数も160−180(実際に拍動しているわけではない)を示し、意識も混濁していました。
 酸素供給は、CPAP(酸素を陽圧で強制的に送り込む装置)に替えられ、顔全体をマスクに覆われた状態でした。

 主治医がこれからの処置について説明されました。  劇症型の心筋炎と考えて処置をするが、まず心筋梗塞などの可能性を除外するために、心臓カテーテルにて造影検査をする。  その上で、梗塞などを認めなければ、IABP(Intraaortic Balloon Pumping:大動脈内バルーンパンピング)を行い、冠循環の補助を行なえるようにする。   同時に心房細動を止めるために、種々薬物の使用や電気的徐細動を行なう。 それでも細動が止まらなければ、PCPS(Percutaneous Cardiopulmonary Support:経皮的心肺補助装置)を設置する。  しかし、PCPSの使用にも限度があるので、一定期間を超えて、心臓の機能が自立回復しない場合は、人工心肺、透析も考慮する。   その間、必要なら輸血を行なう。 暫くの間は、気管内挿管を行い人工呼吸する。
 当院でも最重症の部類に入ると思うので、万一の場合を覚悟しておいてほしいと言うものでした。

 約30分くらいの説明だった思いますが、素人がいきなり治療法の概略を説明されても、殆ど理解できないのが当たり前です。  私も、口腔外科医として一応の救命救急トレーニングを受け、心肺蘇生の現場にも何度も遭遇しました。 しかし、循環器疾患に起因した疾患で、高度の医療技術を駆使するものには未経験で知識も乏しく、母親の現在の病状を理解するのがやっとでした。

               手術場搬送

 
午後7時前には、CCUから手術場へ移され、私と家内は4階にある家族待合で待つように指示されました。  そこは、幾つかのブースに分けられ、それぞれ4人ほどが座れるスペースが確保されていました。   24時間使用でき、携帯も通信可能です。  自販機や雑誌もあり、連絡用の内線電話が設置されていました。   私は1階にある、これも24時間営業のコンビニで、おにぎりとサンドイッチを買い、その家族待合で家内と二人、今までのこと、先生に言われたことを頭の中で整理しながら、空腹を満たしました。

 家内はとりあえず身近な親戚と子供たちに連絡をとり、状況を伝えていました。  それまでは、とても連絡など取る余裕はありませんでした。

 下の娘が午後10時頃に病院へやって来ました。  残りのおにぎりを食べながら、とりとめのない会話をしていると、内線電話が鳴り、出ると、主治医の先生から今終わったので病室へ来るようにとの指示でした。  既に午後10時30分を過ぎていました。

               救急処置後

 
病室へ入る前に、主治医から処置経過についての説明がありました。
 
 心臓カテーテル検査の結果、心筋梗塞は否定されました。  造影ビデオを見ながら説明され、3本ある冠動脈はいずれもきれいで、とても86歳とは思えませんとのことでした。 しかし、心房細動が収まらず、心筋の収縮力も弱まっているので、これからの処置が重要だとのことでした。
 
 まず左下肢の動静脈にIABPを留置して、拡張期の冠動脈流量を増やすようにしている。 気管内挿管の上人口呼吸を行なっている。 麻酔は適宜変更するが、今はプロポフォールを使用している。  これは、いぶき歯科医院でも静脈内鎮静法を行なう場合に使用するものです。 心臓を動かすためにカテコラミンを適宜使用する。  これにはイノバンを使用されていました。
 
 IABPは下降大動脈にバルーンを設置し、収縮期にはバルーンが萎んで、自力での血流を阻害しないよにし、拡張期にはバルーンが膨らんで、下降大動脈を閉鎖して、冠動脈への血流量を増やすというものです。 心電図と同期させ作動しますが、あくまで自己心機能に依存するため、高度な血行動態破綻時には十分な効果が期待できないとの事です。

 右下肢にもPCPSを何時でも行なえるように、動静脈にカテーテルを設置しているが、今後の状況に応じて使用するかもしれない。

 しかし、心房細動は治まっていないので、これからが勝負ですが、後は任せて貰いたいとの事でした。

 ここまでが何時如何なる事態にも対応できる準備が終わった段階です。  後は、病状の推移を見守りつつ、適宜処置を実施することになります。

 病室での母は、静脈内鎮静され、人工呼吸器に繋がれ、各種のモニターに囲まれた状態でした。  カテコラミンとIABPによって自分の心臓で、何とか血液循環を保っていました。   しかし依然として、心房細動は多発し、これを如何にして静めるかにかかっているようでした。
 ここから、状態が上向くか、悪化するか、それは本当のところ神のみぞ知るという感じでした。

 私達夫婦は、主治医の先生方に全てお任せして一旦帰宅することにしました。   既に、日が変わって6月3日になっていました。

医療法人IDC | 先進医療技術 | 13:53 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
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Comment
本日母が救急車で運ばれ、心筋炎と言われたので興味深く読ませていただきました。
医師の方との事で、さすが詳しく書かれています。
母が
劇症型かどうかは明日にならなければわかりませんが、大変参考になりました。
ありがとうございました。

posted by あかね ,2013/05/31 2:16 AM










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